10年目のスタート。外傷特化から進化した9年間の歩みとこれから
- 皓哉 阿部
- 8月14日
- 読了時間: 7分
阿部接骨院は2025年で開業から丸9年を迎え、いよいよ10年目のスタートを切りました。外傷治療に特化した開業当初から、コロナ禍での大きな転機、そして外傷はもちろん、慢性症状やパフォーマンス向上までを幅広くサポートできる形へと進化。患者さんやスタッフとの出会い、学び、挑戦を重ねてきた9年間の歩みと、これからの想いをお届けします。
【10年目のご挨拶】
―ここに来てよかったと思える場所へ―

こんにちは。阿部接骨院の阿部皓哉です。2016年の夏に大阪・茨木の地で開業してから、早いもので丸9年が経ちました。このたび、阿部接骨院は10年目という節目の年を迎えることができました。
たくさんの出会いとご縁に恵まれ、支えてくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
■ 外傷特化から“進化”の歩み



開業当初の阿部接骨院は、千里三浦整骨院で学んだFDM(ファッシャルディストーションモデル)とエコー観察装置を軸に、外傷に特化した治療院としてスタートしました。「いかに早く競技復帰させられるか」に全力を注ぎ、スポーツ中のケガに真正面から向き合ってきました。
また、独立前から「治療だけでなく、運動指導の要素も加えて患者さんを支えたい」という想いがあり、それを形にしたのが体幹教室です。当初はまだ「とにかく体を動かす」という要素が強く、運動習慣や体力づくりを目的とした色合いが濃いものでした。
■ 移転とコロナ禍での転機

2019年11月、現在の場所への移転を決定。広さは倍以上となり、念願だったトレーニングルームを拡大。外傷治療だけでなく、トレーニングやコンディショニング指導の幅を広げられると期待に胸を膨らませていました。
しかし、2020年3月の移転直後にコロナ禍が直撃。翌4月には緊急事態宣言が発令され、運動や大会が中止に。当然、怪我人は激減。ケガをする人が少ないのは本来喜ばしいことですが、私たちの仕事は成り立たないという大きなジレンマに直面しました。
このままでは継続できない――。そう感じた私は、外傷特化だけではなく、慢性症状の改善・身体のメンテナンス・パフォーマンス向上にも力を入れる決意を固めました。
■ 微弱電流との衝撃

そのタイミングで出会ったのが、微弱電流治療器でした。それはまるで、「まだまだそんなもんじゃ甘い」と頭をぶっ叩かれたような衝撃。説明を受けても、何を言っているのかまったく頭に入ってこないほど、自分の知識や経験の枠を超えた世界でした。
同時に、「今まで、ものすごく視野の狭いところで施術をしていたんだな」と痛感。逆に言えば、それまでの私は鋭く尖った“武器”のようなスキルを持っていたからこそ、外傷に特化できていたのだとも思います。
■ 怒涛の学びと出会い



そこからは、怒涛のように学びました。
・微弱電流から読み解く身体のシステム
・Ken Yamamoto Technic(KYT)での最新の機能解剖を学ぶ
・DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)による動的安定性の理解
・感覚器へのアプローチ。感覚入力ツールNABOSOとの出会いと実践
この時期はオンラインセミナーが当たり前になり、国内外さまざまな講師の知見を直接吸収できたことも大きな追い風になりました。のちに、オフラインセミナーが開催されるようになり、各地を飛び回りました。
これらの学びは施術にふんだんに活かされ、さらに体幹教室にも応用されています。今では腹圧の適切なコントロールや足底感覚の活性化など、機能改善・機能向上を目的とした内容へと進化。治療と運動指導が一体化し、より質の高いサポートが可能になりました。
■ 人材確保の現実と希望

開業当初は、私と澁谷の二人三脚でスタート。患者さんの数も増え、徐々に**「人手が足りない」**という状況に直面しました。
そんな中で、施術を受けてくれていた子どもや学生が「この仕事をやってみたい」と憧れを持ってくれる場面も出てきました。「せっかくそう思ってくれたなら、うちで雇える環境を作りたい」——そう考え、元患者が柔道整復師を目指し、阿部接骨院でアルバイトをしながら学び、国家試験合格後に就職するという**“生え抜きルート”**を構想しました。
しかし現実はそう甘くなく、これまで5人ほどの学生アルバイトが在籍したものの、誰ひとりとして就職には至らず……。
それでも振り返れば、この9年間で10人以上の元患者が、この業界(柔道整復師・トレーナーなど)へ進んでいると思います。直接うちで働くことは叶わなくても、僕らとの出会いがその人の人生に影響を与え、進路を考えるきっかけになったことは、本当に誇らしく、嬉しいことです。
■ 萩原・林との出会い

萩原は、柔道整復師2年目のときにInstagramで当院を知り、見学に来てくれました。「こんな接骨院、見たことない。ここで働きたいと思いました」施術スタイルや考え方、院の空気感すべてに共鳴してくれたことが嬉しく、「価値観でつながれる仲間に出会えた」と心から思えました。

林は、小学生の頃から阿部接骨院に通ってくれていた体幹教室の初期メンバー。その経験から柔道整復師を志し、現在は専門学校3年生としてアルバイトを続けています。国家試験に合格すれば、初の生え抜きスタッフとして院の歴史をつないでくれる存在になる予定です。
■ トレーナー活動の広がり


2021年4月からはRISE大森隆之介選手のスポンサーとなり、スポーツトレーナーとしての活動も本格化。試合への帯同やコンディショニングサポートを行い、2023年4月には大阪薫英女学院バスケ部のトレーナーにも就任しました。日頃からハードワークする選手たちのサポートは本当にやりがいがあります。

澁谷も開業当初からトレーナー活動が活発で、少年野球、高校バレー、国際大会など多方面で経験を積み、コロナ後には中学硬式野球チームのトレーナーに就任。就任後、全国大会出場も経験。そして2024年、彼の長年の夢であったプロ野球選手のトレーナーになることが現実に。ご縁をいただき、1月には自主トレキャンプに帯同し、その後は北海道で治療院を任される——そんな話もありました。
結果的に全て白紙となり、一時は退職し、他に勤務するという選択肢もあった中、再び阿部接骨院に戻ってきてくれました。そして復帰後の彼の活躍は凄まじく、現場での施術力・対応力に磨きがかかり、患者さんや選手からの信頼もさらに厚くなっています。
現在は昇陽高校バレー部のトレーナーに就任。しかも現監督は、かつて阿部接骨院に通っていた選手の一人という、まさに縁がつないだご依頼です。今も変わらず、現場の最前線で選手と真摯に向き合い続けています。
■ 挑戦と確信


2025年2月、阿部は念願だったMLBスプリングキャンプを現地で視察。複数球団のキャンプを巡り、選手やトレーナーの動き、治療器やリカバリー環境まで間近で見て回りました。
正直なところ——「負けてない」。これまで積み重ねてきた施術や機器運用、アプローチは、世界の舞台でも十分に通用すると感じました。同時に、「まだまだ未熟だ」という現実も痛感。技術も知識も、さらに磨き続けなければならないと強く思いました。
この経験は、院内での施術やトレーニング指導にも新たな視点をもたらし、**“世界基準で進化し続ける阿部接骨院”**という目標を、より鮮明に描かせてくれました。
■ 理念・ビジョンに共鳴するチームを
理念(Purpose)
すべての人に、「ここに来てよかった」と思える瞬間を。
ビジョン
スポーツをする人も、日常の不調を抱える人も。誰もが安心して身体と向き合える場所を目指します。「困ったときの最後の砦」として、信頼される存在を目指します。
この想いを形にしたブランド名が《RAISON(レゾン)》=フランス語で「意味」「理由」。「ここに来た意味がある」「ここで出会った理由がある」患者さんにも、働く仲間にも、そう感じてもらえる“意味のある場所”をこれからもつくっていきます。
これまでの9年間、本当にたくさんの患者さんに出会い、学ばせていただきました。「ここに来て本当によかった」「また頑張ろうと思えた」そんな言葉をいただくたびに、「この道を選んでよかった」と心から感じます。
10年目も、初心を忘れず、進化を止めず、阿部接骨院を“意味のある場所”として磨き続けていきます。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
阿部接骨院院長 阿部皓哉
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